CADモデルをUnityでさらに“リアル”に!
3D CADモデルをUnityでさらに“リアル”にしてみよう
今回、普段3Dモデルを作成している人で、実際に発注したり、3Dプリントを行う前に「もっと現実に近い完成品を見たい」と考えている人に向けたソリューションを紹介しよう。
「もっとリアルに」を実現してくれるのがUnityだ。もちろん、知っている人は多いだろう。しかし、このUnity、DesignSpark Mechanicalで作成した3Dモデルが取り込めることは皆さんご存じだろうか?
本記事では以下の流れで紹介しよう。
- 利用するCADデータの用意
- DesignSpark Mechanicalを利用したオブジェクトファイルへの変換
- Unityへのオブジェクトファイルの取り込み
- 表面のテクスチャの変更
- 完成をイメージしてみよう
利用するCADデータの用意
まず初めに、利用するCADデータを用意しよう。
DesignSpark Mechanicalは120以上のメーカの75,000を超える豊富な3Dモデルのデータを公開しており、以下から参照できる。もしその他CADツールを利用している人はここから入手してほしい。
https://www.rs-online.com/designspark/mechanical-library-jp
また、DesignSpark Mechanicalで直接ダウンロードして取り込むことも可能だ。
今回CADデータは、サンプルとしてRaspberry Pi 3 Model B SBCと、そのケースを利用することにした。
今回利用する3Dモデル
また、自身で作成した3Dモデルや、STEPファイル*をお持ちの方がいれば、それを利用しもらっても大丈夫だ。
*STEPファイルについて...ISO 10303で規定されている工業製品データの統一規格である。 詳しくはこちらを参照して欲しい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ISO_10303
DesignSpark Mechanicalを利用したオブジェクトファイルへの変換
DesignSpark MechanicalではSTEPファイルを含む各モデルデータを読み込んだ後、オブジェクトファイル(.obj形式)で出力することができる。
まずはモデルデータをDesignSpark Mechanicalで開き、左上の”ファイル(F)”から名前を付けて保存(A)”を選択する。
すると、保存できる形式が選択できるようになるので”OBJファイル(*.obj)”を選択する。
これでオブジェクトファイルに変換することができたはずだ。
また、ここで生成されるデータは.mtlと.objであるが、今回は.objのみ必要である。
Unityへのオブジェクトファイルの取り込み
Unityのダウンロードとインストールについては、以下の公式サイトを参照して欲しい。
https://docs.unity3d.com/jp/540/Manual/InstallingUnity.html
また、Unityの操作方法については以下を参照して欲しい。https://docs.unity3d.com/ja/530/Manual/SceneViewNavigation.html
今回、無料版のPersonalを利用するので、個人ユーザや商用利用をしないユーザは安心して利用できる。
まず、Unityを起動し、今回オブジェクトを取り込みたいプロジェクトを作成する。
プロジェクトを作成すると、画面下に”Project”というメニューが確認できるだろう。
この中の“Assets”というフォルダを右クリックして”Show in Explorer“をクリックすると、作成したプロジェクトのディレクトリがエクスプローラーで開くはずだ(Windowsを想定している)。
開いたディレクトリの中に、先ほど変換した.objのファイルを置くことで、Unityへオブジェクトファイルを取り込むことができる。
もし、Raspberry Pi 3 Model B SBCが正しくUnityにインポートされると次のようになるはずだ。細かいパーツ情報も読み込まれていることが確認できるだろう。
表面のテクスチャの変更
それではようやくオブジェクトの見た目を”リアル”なものにしていこう。
1. テクスチャに画像を利用してみよう
Unityでは、標準でオブジェクトのテクスチャパターンに画像を利用することができる。
今回は試しに読み込んだRaspberry Piのケースを木目調にしてみよう。
まずはパターンにしたい画像を用意する。今回は、free-texture.netよりテクスチャ画像を拝借した。
https://free-texture.net/wood
ここで、ダウンロードしたテクスチャ画像を、先ほどと同じUnityのAssetsフォルダの中に置くとUnityに取り込まれる。
また、Unityにて、画面下のProjectのAssetsを右クリックし、”create”→”Material”を選択。
ここで作成したMaterialにはわかりやすい名前を付けておくのが良いだろう。今回はWoodPatternという名前とした。すると、次のようにAssetsの中に丸い球体のようなものが現れるだろう。また、画面右下に同じものが現れるはずだ。
次に、Assetsの中のMaterialのWoodPatternを右クリックし、”Import New Asset”を選択し、右側のツールボックスにて、”Inspector”タブ→”Legacy”→”Shaders”→”Diffuse”を選択する。少々わかりづらいので以下の図を参考にしてほしい。
すると、ツールボックスにテクスチャ画像を指定する箇所が現れるので、先ほど取り込んだテクスチャ画像をドラックアンドドロップで選択できる。
こうした作成したAssetsのMaterialを適用したいオブジェクトへドラッグアンドドロップすることで適用できる。これで表面が木目調にできたはずだ。
2. 色や質感を変えてみよう
先ほどはテクスチャに画像を利用したが、メタリック調や透明にすることもできる。
メタリックにする場合には、先ほどと同様にMaterialを作成し、InspectorのAlbedoから好きな色を指定し、SourceでMetalic Alphaを選択すればよい。
Albedoを赤にし、メタリック調にした状態
透明にする場合には、先ほどと同様にMaterialを作成し、InspectorのAlbedoを好きな色を指定し、Rendering ModeをTransparentにすると透明化できる。
Albedoを青にし、レンダリングを透明にした状態
完成をイメージしてみよう
ケースが納得いくものになったら、実際にオブジェクトを完成したものに近づけてみよう。
先ほど作成した青の透明ケースをRaspberry Piに重ねてみる。
これでは少しわかりづらいので、上の☀(Scene Lighting)をオフにすると、わかりやすいかもしれない。これでかなり実物に近づけることができ、完成をイメージできたのではないだろうか?
最後に
今回、私は、「もっと現実に近い完成品を見たい」と考えている人に向けたソリューションを紹介した。普段からUnityを利用していない人でも、プログラミングなしで、より「リアル」な完成イメージを作成できることが分かって頂けただろう。
今回はUnityでアニメーションを一切利用していないが、逆に普段からUnityを利用しているユーザがこうした3D CADモデルを利用するきっかけになるなど、こうしたCADデータの活用が活発になることを期待している。
DesignSpark Mechanicalについて
DesignSpark Mechanical(DSM)は非常に簡単に使える無料3次元CADだ。
本設計前のプロトタイピング、意匠設計、商品企画資料、特許申請用イメージ、3D PDF等の作成にぜひ利用してほしい。
以下のリンクからダウンロードし、利用できる。
https://www.rs-online.com/designspark/mechanical-software-jp
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